岩窟ホテル
突然だが、そんな名前のホテルが埼玉県の北部にある。
なんと、その名の通り岩窟を掘り進めて作ったホテルなのだ!

岩窟ホテルは吉見百穴のすぐそばにある。
なるほど、この辺一帯の岩盤は柔らかくて掘りやすくなってるんだな。
現在は閉鎖されており、営業もしていない。

窓には格子が刺さっていた。
安政5年生まれの高橋峰吉という農夫がノミ1つで掘り続けたのだ。
明治37年から大正11年までの21年間ずっと掘り続けていた。すごい執念だ!
沢田マンションや大菩薩峠と同じような感じか。

ちなみに、最初はホテルとしてではなく、醸造用として作ったらしい。
タライの中に野イチゴを入れて、岩穴の中に置いておいたところ、
数週間後に野イチゴが果実酒になっていたことを見てから、
穴の特製を理解し、醸造酒を造ろうとしたらしい。
最初は「岩窟掘ってる」が「岩窟ホテル」となまったようだ。

さらに、峰吉の死後、高橋家の養子である泰治氏が引継ぎ、
昭和40年ごろまで掘り進めることとなる。

ネットではホテルとしての営業をしたことはないと書かれているが、
実際にホテルとして営業していたことがあるらしい。
う~む・・・泊まってみたかった!!

現在では風化してしまっているが、当時は素晴らしい造形であった。
これが本当にノミ1本で掘ったと信じられないくらいのクオリティ。

屋根なんかもノミで削って作り上げたらしい。
現在でも屋根の凹みが少しだけ残っている。

内部は更に凝っており、
テーブルや家具なども全てノミで掘って作り上げたようだ。
ネット上では昔の様子や内部の写真なども見ることが出来た。

ホテルの庭には遊具なんかも残っていた。
昔は普通に入って中で遊ぶことが出来たんだろうな。

唯一ここが岩窟ホテルだったことを示す看板があった。
岩窟売店は高橋さんの家族が運営しており、
現在も営業中だったが、訪問したときは定休日だった。
いろいろとお話を伺いたかったが、残念。

2度の崩落があり、現在内部は立ち入り禁止となっている。
危険なので、無断で入ることは絶対にやめてほしい。
というわけで、岩窟ホテル。
2人の男の信念が岩窟を掘り進めて造ったホテル。
残念ながら閉鎖されており、内部を見ることは出来なかったが、
その信念は確かに感じることが出来た。
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